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世界最大級のシステム開発プロジェクト!みずほFGの悲願

MIZUHO

みなさんは昨年までみずほFG(フィナンシャルグループ)で進められていたみずほ銀行の勘定系システムの刷新と統合のプロジェクトをご存知だろうか。あまりにも大規模なため開発が難航し、二度にわたるスケジュール延期を発表したことから「IT業界のサグラダファミリア」と呼ばれていました。そんな世界最大級のシステム開発プロジェクトについて書きたいと思います。

この記事の内容は日経BP社より出版されている以下の著書を元にしています。

この本にはみずほFGにおける勘定系システムの歴史や刷新プロジェクトの詳細な内容、また2002年と2011年にみずほFGが起こした大規模システム障害について事細かに書いてあります。正直めちゃくちゃ面白いので、エンジニアの方には是非読んでほしいと思います。

なぜ刷新・統合をしたのか

今回なぜ巨額の費用を投じてまでシステムの刷新と統合をする必要があったのでしょうか。それには大きく二つの理由があります。

老朽化

一つは老朽化の問題です。今の銀行の勘定系システムの多くは、1980年代にCOBOLFortranといった技術で作られた第三次オンラインシステムだと言われています。その作り上保守性が低く、改修や運用のコストが問題となっていました。さらにあまりに大きく古いプログラムなため、システムがブラックボックス化しており、トラブル発生時の対応が困難であったからです。

みずほ銀行 : 2011年3月のシステム障害について
日本全体が困難な状況にあるなかで、この度の当行のシステム障害により、お客さまをはじめ、広く社会の皆さまにご迷惑をおかけしておりますことを深くお詫び申しあげます。

組織再編

もう一つは組織再編によるものです。みずほFGは2000年に第一勧業銀行富士銀行日本興業銀行の三行が統合し設立されました(設立当初はみずほホールディングス)。銀行はみずほ銀行みずほコーポレート銀行の二行に再編しましたが、システム的には第一勧業銀行と日本興業銀行のシステムをそのまま使用する形で運用することになります。そして2013年にはみずほ銀行とみずほコーポレート銀行が合併しみずほ銀行一行体制となり、そこにみずほ信託銀行も含めシステムを一本化する必要があったのです。

みずほFG:沿革
みずほフィナンシャルグループの沿革を掲載しています。

圧倒的スケールのプロジェクト

ではこのシステム開発プロジェクトの規模感について紹介したいと思います。プロジェクトで刷新・統合され完成したみずほ銀行の勘定系システムを「MINORI」といいます。

勘定系システムとは、企業などで開発・運用される情報システムの種類の一つで、銀行などの金融機関で入出金や資金の決済、口座の管理などを行なうもの。一般企業や官庁でも会計、経理、財務を扱うシステムをこのように呼ぶことがある。

IT用語時点 e-Wordsより

MINORIは8年(2011〜2019年)という長い期間をかけて開発から移行(旧システムからの)まで行われたシステムで、あらゆる数字が桁外れです。まずその8年で投じられた開発費は4000億円を超え、開発規模は35万人月だったとされています。開発を請負った企業は1000社にも上り、ピーク時には8000人ものエンジニアが開発に関わっていました。

SIer業界のアベンジャーズ

このプロジェクトのエンドユーザは当然みずほFGで、そのシステム子会社であるみずほ情報総研から大役を任された主要ベンダーは富士通日立製作所日本IBMNTTデータの4社でした。その他にもSCSK日鉄ソリューションズCTCDTSなど一次受け企業だけで70〜80社となり、まさにSIer業界のアベンジャーズが集結したのです。

数千種類のサービス

MINORIはSOA(サービス指向アーキテクチャ)に基づき設計開発されました。それにより商品サービスごとに独立したコンポーネントを作るのですが、みずほ銀行の勘定系システムともなると、その数は約3000種類にも及びます。トランザクションを張り各コンポーネントを跨いで処理を行う取引メインという主要コンポーネントと一部のコンポーネントはCOBOLで実装され日本IBM製メインフレーム上で稼働します。その他のコンポーネントはLinuxサーバで動くJavaアプリケーションとして作られました。

おわりに

結果みずほFGは1999年に旧三行から統合することを発表して19年が経ち、悲願のシステム統合を果たすことができました。本記事で紹介したのはそのごく一部の情報で、書籍にはさらに詳しい情報やドラマが書かれています。

そしてこの本に書かれていることはエンジニアであれば決して他人事ではありません。基幹システムの老朽化問題を抱えている大企業は多く、経済産業省も「2025年の崖」として警鐘を鳴らしています。我々エンジニアはこれらの問題に立ち向かい刷新開発をしていく必要があることを忘れてはならないのです。

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